500円講座より

正しい瞑想とは何か知るためにマインドフルネス瞑想の歴史を学ぶ

このページは、マインドフルネスの500円講座からの転載です。講座は全体で35項目以上、動画が5本あります。全体の利用はご案内をご覧ください … 続きを見る >

歴史を知ることも、マインドフルネス瞑想とは何か正しく知る手立てになります。

原点から近年の流行までの歴史をみてみましょう。

マインドフルネス瞑想の原点は

前のページで説明したように「マインドフルネス」は仏教の最重要な教えと実践のノウハウの八正道(はっしょうどう)の正念のことが英訳されました。

今から140年近く前、1881年に、原始仏教の経典の言語のパーリ語学者のトーマス・ウィリアム・リス・デイヴィッズが英訳しました。

そして、正念の力の開発法として、古来からヴィパッサナー瞑想がありました。

心の科学のテーラワーダ仏教

仏教は、お釈迦様がインドで説き亡くなってから様々に伝達されることになりましたが、インドから北、チベット、中国、そして韓国や日本に伝わった北伝仏教と、スリランカやミャンマー、タイなど南へ伝わった南伝仏教があります。

南伝と北伝の仏教の伝播のルート

北伝仏教は、南伝仏教よりもお釈迦様の仏教から変化しました。日本はさらに開祖仏教と言い、お釈迦様よりも各宗派の開祖や開祖の教えを重視する傾向があります。

南伝仏教はお釈迦様の時代に近いパーリ語で書かれた原始仏典の教え・実践を重視してきました。今はテーラワーダ仏教と言い、テーラワーダ仏教の仏教はいわゆる宗教とは異なり、論理的・合理的で、仏教を心の科学とも言います。

マインドフルネスはテーラワーダ仏教が重視してきたパーリ語の経典から英訳され、その瞑想のヴィパッサナー瞑想はテーラワーダ仏教が守り実践してきました。

マインドフルネス瞑想の近年の状況

近年のマインドフルネス、マインドフルネス瞑想の流行はアメリカではじまりました。

アメリカでの歴史

アメリカでは、まず仏教の禅の普及がありました。

日本から禅が普及

1900年前後に、日本から日本の禅が伝わり広まりはじめました。

1950年代には、アメリカで異彩を放った「ビート・ジェネレーション」と言われた人たちによって禅の受容が盛んになり「ビート禅」と呼ばれ、哲学者や詩人や作曲家などが積極的に禅に親しむようになりました。

1960年代になると日本の曹洞宗が日本人僧によるアメリカ人向けの指導を本格化し、その原動力は『禅マインド ビギナーズ・マインド』の書で知られる鈴木俊隆師でした。

鈴木俊隆師

鈴木俊隆師は1959年に渡米してサンフランシスコ桑港寺の住職となり、サンフランシスコ禅センターやタサハラ禅マウンテンセンターも開設しました。

こうしたアメリカの禅の流れは、有名なスティーブ・ジョブズ氏が禅を信奉していたことにもつながっていきます。

スティーブ・ジョブズ氏は禅

スティーブ・ジョブズ氏は禅

「マインドフルネス」の普及のはじまり

禅の普及に並行して、1960年代から「マインドフルネス」を中心として仏教の教えを説く仏教の僧が活動をしはじめました。

著名なのがアメリカに亡命していたベトナム人の禅僧のティク・ナット・ハン師です。

ティク・ナット・ハン師

ティク・ナット・ハン師はキング牧師にノーベル平和賞に推薦されたこともあり、その後、現在までそうですが、仏教的なマインドフルネスの世界的な普及者です。

ハン師は禅僧ですが、ハン師のありかたは禅僧である枠を超越して瞑想法は禅の坐禅というより、本来のマインドフルネス瞑想の瞑想、テーラワーダ仏教のヴィパッサナー瞑想寄りのものです。

テーラワーダ仏教のヴィパッサナー瞑想の普及

ドイツ人のテーラワーダ仏教僧のニャナポニカ・テラ師が仏教出版協会を設立。発行した多くの冊子が世界的に普及するようになりテーラワーダ仏教、ヴィパッサナー瞑想が知られるようになりました。

ニャナポニカ・テラ(ウィキペディアから)

ニャナポニカ・テラ師は、私がミャンマーで修行したマハーシ式のヴィパッサナー瞑想のマハーシ・サヤドーに師事なさっていました。

なお、テーラワーダ仏教の僧も「マインドフルネス」という言葉を使い、ヴィパッサナー瞑想をマインドフルネス瞑想とも言います。

そして、ヴィパッサナー瞑想の瞑想センターが開設されるようになります。

1976年、ジャック・コーンフィルド氏とジョセフ・ゴールドスタイン氏が、ヴィパッサナー瞑想を取り入れ、インサイト・メディテーション協会を設立しました。

ジャック・コンフィールド氏は、タイのテーラワーダ仏教の高僧のアーチャン・チャー師の弟子でアーチャン・チャー師の元で約6年間修行し、アーチャン・チャー師と『手放す生き方』の原書を共著もしています。

アーチャン・チャー長老

ジョン・カバットジン教授が、このコーンフィルド氏とゴールドスタイン氏のもとでヴィパッサナー瞑想を学びました。

医療版のマインドフルネス瞑想の登場と普及

教授は、1960年代半ばから、韓国禅の韓国人僧のスン・サン師に師事し、長年、禅を実践していました。そしてヴィパッサナー瞑想に取組んだとき、かつてない体験をし、坐禅、ヴィバッサナー瞑想を応用してマインドフルネスストレス低減法を構築しました。

カバットジン教授とダライ・ラマ14世

1979年、マサチューセッツ工科大学の医学部教授となり、マインドフルネスに基づくストレス低減法を実施するクリニックを創設して8週間のプログラムを開始しました。

このマインドフルネスストレス低減法が、効果が認められていき、マインドフルネス瞑想と言われるようになり普及していきます。

精神療法用に応用されて普及

認知療法で著名なJ.D.ティーズテール氏、マーク・ウィリアムズ氏らが、カバットジン教授のマインドフルネスストレス低減法が、うつ病の再発防止に効果があると検証しました。精神障害の治療のためにマインドフルネス認知療法を開発しました。

マインドフルネス認知療法は、慢性的なうつ病の患者を対象としたもので、マインドフルネスな心構えを学ぶ認知療法の要素と、マインドフルネス瞑想をするという行動療法の要素が組み合わされています。

このマインドフルネス認知療法によって、さらにマインドフルネス瞑想は知られるようになり、認知療法以外、行動療法等にも取り入れられるようになりました。脳科学などの分野での研究もいっそう進むようになります。

ビジネスで成果を上げるため形を変えビジネス界で普及

2007年、グーグルがマインドフルネス瞑想を教えるプログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」を開発して社員の能力向上に講座を導入しました。

サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)は、カバットジン教授のマインドフルネスストレス低減法そのものではなく、瞑想の目的を心の知能指数と呼ばれるEQの向上に変えて、カバットジン教授とEQ研究者のダニエル・ゴールマン博士、グーグルのチャディー・メン・タン氏によって開発されました。

googleロゴ

サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)の方法はビジネスパーソンとして成果をあげるための人材開発・能力開発の色合いが濃く入り込んでいます。

そして、その講座が社内で高く評価され、社外にも広まっていくことが契機になって、マインドフルネス瞑想はビジネス界に広まっていくようになります。

ゴールドマン・サックス、P&G、インテル、フェイスブック、ナイキ、ヤフーなどが取り入れ、著名なビジネスリーダーたちの多くも実践するようになり、2014年には「マインドフル革命」の文字がタイム誌の表紙を飾りました。

日本における歴史

1995年にアメリカでのマインドフルネスの普及でも重要な人物のティク・ナット・ハン師が来日し、約20日間、各地でリトリート、瞑想会、講演会を行い、著書の翻訳も進められて『微笑みを生きる』などが出版されました。

このころから日本でもマインドフルネスの教え、ヴィパッサナー瞑想がしだいに知られるようになっていました。

スリランカ僧のアルボムッレ・スマナサーラ師が仏教に関する著作を出し、気づきに関する講演や瞑想会を実施するようになり、その瞑想はヴィパッサナー瞑想でした。

そして、2007年にジョン・カバットジン教授の著書が『マインドフルネスストレス低減法』と改題されて復刊され、2012年にはカバットジン教授が日本に招聘され、マインドフルネスストレス低減法のワークショップが開催されました。

2008年に井上ウィマラ氏、ケネス田中氏らにより日本仏教心理学会が設立され、2013年の日本マインドフルネス学会をはじめ各種団体が創設されるようになりました。

2017年頃からNHKがテレビ番組で取り上げることもたびたびあるようになって、マインドフルネス瞑想を知る人はいっきに多くなりました。

なお、当初は、テレビやネットなどから様々な変型版のようなもののほうが多くの人に知られて、それからマインドフルネスストレス低減法、テーラワーダ仏教のヴィパッサナー瞑想を知る人が増えてくるようになりました。

まとめ

歴史を見てきて、マインドフルネスは仏教の正念で、テーラワーダ仏教のマインドフルネス瞑想のヴィパッサナー瞑想の普及があって

近年の流行の元のカバットジン教授のマインドフルネスストレス低減法もヴィパッサナー瞑想が原点で、マインドフルネス瞑想は、やはりヴィパッサナー瞑想が根本・本来であるとわかったと思います。

流行するにしたがって

アメリカでは、心理療法やビジネスの成果を求める視点などでどんどん瞑想法が変質されてきています。

特別な実践や意味だとすることもやめ、「マインドフルネス」が精神的なものを意味する単語のように扱われるようになってきたり、人々に金銭を消費させるための道具ともなってきています。

ビジネスパーソンや軍人にいっそう力を発揮させて、組織のパフォーマンスを上げるためのものになっているという批判もあります。

この傾向は日本も例外ではありません。同じように瞑想法はどんどん変質しマインドフルネス瞑想と関わりない瞑想やトレーニングや療法などをマインドフルネス瞑想という人も増え、何にでもマインドフルネスの冠がつけられるようにもなってきています。

ブームはビジネスチャンスと、知識だけや多少の実践をして人に教える人も次々出てくるようになりました。

また、日本の場合、マインドフルネス瞑想を禅の坐禅と同じや、禅寄りになった方法とする傾向が現れました。後のページで禅の坐禅とマインドフルネス瞑想について説明しますが、そういう傾向があります。

これらの結果、マインドフルネス瞑想をしてはいるけれども、マインドフルネスの本当の効果を得られている人はごくわずかという状況になっています。

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瑞雲庵